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ブースト広告とは?リワード広告との違いや、その仕組みを解説

1996年、アメリカにおいて世界初の成果報酬型インターネット広告(アフィリエイト広告)が誕生しました。
日本においても1999年に「Value Commerce」、2000年に「ファンコミュニケーションズ(A8.net)」がサービスを開始しました。

その後も、リスティング広告(検索連動型広告)、コンテンツマッチ広告(コンテンツ連動型広告)、ネイティブアド(ネイティブ広告)など、さまざまな広告が登場しました。
それぞれの広告には特徴があるのですが、今回はタイトルにもある「ブースト広告」について解説していきます。

皆さんは、アプリストアのランキングにおいて、聞いたことのないアプリが総合ランキングの上位にランクインしているのを見たことはありませんか。これは、今回のテーマともなっている「ブースト広告」が大きく影響している可能性があります。

どのような仕組みでこのようなことが起こるのか解説していきます。

ブースト広告とは?

ブースト(Boost)広告は、アフィリエイト広告の一つであるリワード広告を、App StoreやGoogle Playなどのアプリランキングで上位表示を狙うために、アプリのダウンロードを促す広告を短期間で集中して出稿する広告手法を指します。

厳密にはブースト広告という種類の広告はなく、アプリのダウンロードなどの指定されたアクションを完了することで報酬が支払われるリワード広告を大量に出稿することでアプリランキングの「Boost(ブースト)」=「押し上げ」を狙うものです。
つまり、以下の流れを短期的に作るということです。

  1. 広告によりダウンロード数が増える
  2. アプリランキングやアプリ内検索が上がる
  3. 更にダウンロードが増える

例えば、ポイントアプリ、お小遣いアプリなどを通じて「〇〇のアプリをダウンロードしたら、あなたに54円のAmazonギフトを上げます」「一回50ポイントで1,000ポイント溜まったらQuoカードを送ります」のような形で報酬を出します。
皆、この報酬目当てに何度もアプリをダウンロードし、インストールして立ち上げます。

このようにしてダウンロード数を増やし、あたかも人気のアプリのように見せかけ、アプリランキングを上昇させることができるのです。

ブースト広告はアフィリエイト広告の一種

アフィリエイト広告とは?

ブースト広告、リワード広告のような成果報酬型インターネット広告であるアフィリエイト広告とはどのようなものなのでしょうか。

アフィリエイト(Affiliate)広告は、サイト上で商品やサービスを紹介する広告の仕組みです。サイト上に載せた広告をユーザーがクリックし、広告主のサイトで会員登録や商品の購入などをするとサイトの持ち主に報酬が入るというものです。
具体的には以下のような仕組みになります。

  1. アフィリエイター(媒体主)が持つサイトに、広告主の商品やサービスのリンクを貼る
  2. サイトを閲覧したユーザーがリンクをクリックする
  3. リンク先で商品を購入したり、サービスに登録したりする
  4. 広告主からアフィリエイターに報酬が支払われる

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アフィリエイト広告の種類

アフィリエイト広告には、「成果報酬型」「クリック型」「無料型」の3種類があります。ブースト広告やリワード広告は「成果報酬型」に含まれます。広告主から見たアフィリエイト広告を利用する利点は、次の3点となります。

  • コストパフォーマンスが高い
  • ネット上での商品・サービス認知度が上がる
  • 初期コストが安くて済む

アフィリエイト広告は、広告主はASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー:媒体と広告主の仲介会社)を通じて、アフィリエイトサイトやポイントサイトに広告を出すのが一般的です。
なぜ、ASPを使うのかというと、アフィリエイト広告は、

  • 成果がいつ発生したか
  • 成果が発生したサイトはどれか
  • 成果はいくつ発生したか

を把握するシステムが必要で、これを自社で全てやるにはコストがかかりすぎるからです。

アフィリエイト広告出稿時のポイント

広告主はアフィリエイトASPを通じてポイントサイトに広告掲載を依頼しますが、以下のようにサービスの違いや目的の違いによって、どのような広告を打ち出すべきか、またその目標(CV:Conversion)に対して広告費や成果報酬額が適切であるかどうかをまず最初に見極めなければなりません。

購買が発生するサービスの場合

ECサイトなど商品を購入するようなサービスでは、成果報酬を「購入金額の〇〇%」のように設定すれば赤字にはならないので、成果報酬額をあまり考慮する必要はなく、アフィリエイトサイトへの出稿は行いやすいと言えます。

無料会員登録系(フリーミアムモデル)のサービスの場合

このユーザーが有料会員化したり、有料のオプションなどを使用してくれる確率が低いので、本当にこのサービスを使ってくれる(売上が発生する)人は獲得したCV全体の何%になるのかまでを試算して成果報酬額を設定する必要があります。

広告を出稿するサービスの場合

認知を目的として広告を出稿する場合、どれだけ自社のブランドを認知してもらっても企業にはお金は入りません。ユーザーに認知された後に、どのようにサービス利用や購入まで導くのかを考える必要があります。

次に、広告の報酬付与の観点で見ましょう。
アフィリエイト広告は、インセンティブ(報酬)の付与方法により「直接インセンティブ」と「間接インセンティブ」の2種類に分類されます。

直接インセンティブ

「成果を発生させた人(例:閲覧者や会員)」と「報酬を受け取る人」が同じ

例)ポイントサイトに広告掲載を依頼した場合
ポイントサイトとは、広告や広告主の商品バナーをクリックし、その商品を購入することによりポイントが受け取れるという会員サイトを指します。受け取ったポイントは商品の購入に使用したり現金などに交換が可能です。

この場合の広告は、成果を発生させた人(会員)がポイントサイトから報酬(ポイント)を受けるので、『直接インセンティブのアフィリエイト広告』となります。

間接インセンティブ

「成果を発生させた人(例:閲覧者)」と「報酬を受け取る人」が異なる

例)アフィリエイトサイトに広告掲載を依頼した場合
アフィリエイトサイトは個人が運営するサイト(ブログ等)がメインですが、法人のWebサイトで広告枠を設けているものがあります。この場合、アフィリエイトサイトは、掲載している広告から成果が発生した際に広告主から成果報酬を受け取ることになります。
この場合、サイトに掲載されている広告を閲覧した人が報酬を受けるわけではなく、アフィリエイトサイトの運営者が広告主から報酬を受け取るので、『間接インセンティブのアフィリエイト広告』になります。

間接インセンティブの場合、直接インセンティブと違って「成果を発生させた人(閲覧者)」が報酬を受け取るわけではないため、発生した成果は報酬目当てではない純粋な成果であるといえます。
これに対して直接インセンティブの場合、報酬目当ての広告アクセスをすることが可能です。これがリワード広告(ブースト広告)に利用されているのです。

リワード広告とは?

先に述べましたが、リワード(Reward)広告とは、アフィリエイト広告の一種で、アプリのダウンロードや商品の購入により閲覧者(会員)に報酬を行う仕組みを持った広告です。

成果報酬は広告主から媒体(サイト)へ支払われます。媒体から閲覧者へは「媒体内で使用できるポイント」や「ECサイトで利用できるポイント」などが付与されます。

リワード広告の達成すべきCVは広告によっても異なりますが、商品の購入、動画の閲覧、アプリのダウンロード、サービスへの会員登録など、多岐にわたっています。
リワード広告の大きな特徴は、報酬が発生する行動(クリックやダウンロード)に対して報酬が発生することです。
つまり、商品・アプリ・サービスを利用したいから購入・ダウンロード・登録するという本来の形ではなく、報酬を得たいから購入・ダウンロード・登録を行うことが可能になってしまうということです。

通常、商品・アプリ・会員に興味がない人に報酬を付与してしまうことについて広告主は嫌がるはずなのに、なぜこのような広告配信ができるのでしょうか。それは、ブースト広告の狙いである「ランキングの押し上げ」にあるのです。

ブースト広告の懸念

利用の実体を伴わない可能性の強いリワード広告(ブースト広告)によるダウンロードは問題視され続けてきました。つまり、ブースト広告は意図的にアプリランキングで上位表示させているため、ダウンロードの水増しであると捉えられたり、本当にユーザーから支持されているアプリが上位表示されにくくなる点が問題視されていたのです。

リワード広告自体が問題視されているわけではなく、ブースト広告としてアプリランキングで意図的に上位表示を狙う使い方が問題視されており、消費者に不利益になるような不正なランキング操作に近い使い方を問題視しているのです。

従来、ダウンロード数でランキングを決めていたAppStoreやGoogle Playでのブースト広告の利用は「不正にランキングを操作するもの」であるとして禁止されました。
「リワード広告のブースト利用」という使い方が、報酬目的のアプリのインストールを短期間で急激に増加させ、本当に評価されるべきアプリがランクインしなくなるからです。

App Storeからの排除もありえる

2017年1月に日本語翻訳版が公開されたApp Storeの規約(App Review Guidelines)では、レビューの捏造やランキング操作についてApp Storeの信頼性を保つためにアカウント停止する場合があると書かれています。

また、システムに対して不正を働こうとした場合(審査プロセスに対する不正、ユーザーデータの不正取得、他のデベロッパーが作成したアプリケーションのコピー、評価の操作など)、そのデベロッパーのアプリケーションはApp Storeから削除され、デベロッパーはDeveloper Programから除名されます。

さらに、デベロッパーがカスタマーレビューを操作したり、金銭や報酬を与えてフィードバックを得たり、フィードバックの一部のみ誤用したり偽のフィードバックを書くなどしたりしてチャートランキングの上昇を図るか、そのようなサービスを提供する他社と協力したことが判明した場合、AppleはApp Storeの信頼性を保つための手順を踏み、そのデベロッパをDeveloper Programから除名する場合があるとも書かれています。

Appleは、App Storeの信頼性を保つために「ユーザーが安全にアプリケーションを入手できるようにすることと、あらゆるデベロッパーに成功するための素晴らしい機会を提供すること」という理念をもとにガイドラインを改訂しました。

変化するアプリマーケティング

Appleがリワード広告(ブースト広告)を禁止したことにより、アプリマーケティングの手法が大きく変化してきました。
いままでのアプリマーケティングは、ブースト広告を使ってアプリダウンロード数を増やし、アプリランキングの上位にランクインさせる手法が一般的でした。

しかし、プラットフォーム側がリワード広告を禁止し、iOS11のアップデートでApp Storeのランキングタブが消えたことにより、一層リワード広告の存在感が薄れてきています。

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ASOマーケティングの対策が重要に

最近ではASO(App Store Optimization:アプリストア最適化)対策がアプリマーケティングの主流になっています。ASOは、ダウンロード数だけではなく、アプリストア内に存在するコンテンツをアルゴリズムに従ってランキングを決定するというものです。

そのアルゴリズムは公表されておらず、Google Playのアルゴリズムの要素は200以上あるともいわれています。主要なアプリストアであるApp StoreとGoogle Playでは以下のような要素が影響していることが知られています。

  • アプリストア内の検索キーワード
  • ダウンロード数
  • 利用率(実際にどのくらいそのアプリが利用され続けているのか)
  • レビュー数と平均スコア改善
  • リテンション率
  • アップデート頻度
  • Webページ上でのアプリについての言及

ただし、アプリストアのアルゴリズムは数ヶ月に1回変更される傾向にあるともいわれています。

また、新たな広告として、動画リワード広告が注目を集めています。動画リワード広告とは、ユーザーにアプリ内で使用可能なポイントなどの報酬を付与する代わりに、予めユーザーの承諾を得た上で、全画面で配信される動画広告を表示するものです。海外では
、Rewarded VideoAdsと呼ばれています。報酬を得られ、その視聴が強制ではない動画リワード広告に対するユーザーの許容度は、比較的高いという調査結果も出ています。

まとめ

デジタル分野の成長とともに、広告もまたその成長を共にしてきました。そしてWebの変遷に伴って広告の形態も見合った形に変容を遂げてきました。

スマートフォンが普及して、アプリもゲームからビジネスに使用できるものまで、さまざまなアプリが登場しました。そのような状況の中でいかに顧客にアプリが選ばれるのかを考えるのは、アプリ事業社にとっては非常に重要な問題です。その中で生まれたブースト広告という手法でしたが、現在においてはその役割は終了したとも言えるのではないでしょうか。

一方でリワード広告そのものは形を変え、動画リワード広告のように本来のプロモーションに利用されつつあります。
リワード広告のような既存の広告手法に固執せず、広告媒体と広告事業社間で健全なシステムを作り上げていくことが重要なのではないでしょうか。

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